❀本公演を企画した思い

2011年3月11日に発生したあの震災の時、私はイギリスにおりましたが、その3週間後、何もできないことは わかりながらも、いたたまれない思いで、あんパンやジャムパンを数百個スーツケースに詰め、夜行バス に乗ってぼこぼこの道路の上を揺られながら何度か東北の被災地に足を運びました。

というのもあるきっかけで宮城県にある日本酒「伯楽星」の造り酒屋、新澤醸造店とのご縁を頂き、震災の前 年の2010年6月に「伯楽星カップ~ゲイリーン・ストックバレエコンペティション」^というバレエコンクールを(世界にたった一つしかないコンクールを目指して)今は亡き英国ロイヤルバレエスクールの校長ゲイ リーン・ストック女史の協力の元、宮城県大崎市民会館で開催したこともあり、東北のことが頭を離れることは ありませんでした。新澤醸造店の方々に会い、また大崎市長ともお話をさせて頂き、気仙沼市を訪 問した際に通りかかった気仙沼小学校で、どうしてもどなたかにお会いしてお話を聞きたくなって、校門をくぐ りました。すると思いがけず、学校長がお相手をして下さったのです。

震災発生時、私の元には被災地から、イギリスへバレエを学びに留学している少女達がいました。今で こそ夢を叶えてバレリーナになりましたが、その当時は、今自分が日本を離れて家族や友人の 側にいられない事が本当に辛くて目に涙を溜めて、「早く帰りたい」、「私も皆の側にいたい」、「みんなのこと が心配!」と、口にしていました。

そんなこともあって、気仙沼小学校長から子供たちに関する沢山のことをお聞かせいただき、いつか東北の 被災地に戻ってきたい、そしてここで子供たちに何か喜んでもらえるようなものを観せてあげたいとの想いが、 ずっと心の中から離れずにいつもありました。8年という長い年月がたってしまいましたが、協力してくれる仲間達と共にやっと実現できる 目途が立ちました。現在はあまりメディアでは多く放送されなくなった被災地の状況については遠くイギリ スからいつも気になっていました。自分たちにできる事は小さいですが、この震災があった事を決して忘れて はいけないと思い、こういう活動が被災地の方々にどれだけ喜んで頂けるかわかりませんが、少しでも舞台を 楽しんで心に温かみを感じて頂ければと願っています。

 

菜の花被災地応援ステージ実行委員会 主催者代表  橋立珠美(はしだてじゅみ)

 

ブログ参照 : Blog イギリスの空の下からのつぶやき 「2011年気仙沼市を訪れた忘れえぬ日」 

 

 

❀ロンドン~オランダ~そして東北被災地へ

2014年能楽師 津村禮次郎師と出会い古典芸能の美しさに目覚め、日本の心と歴史と文化を伝える為、能とバ レエとピアノのオリジナルの作品の制作を始める。2014年よりロンドンのジャパン祭りのステージにて、震災で全 壊してそして見事に復活した日本酒「伯楽星」のストーリーを、2015年は日本の自動車業界の歴史とアイルトン・セ ナのストーリーを、2016年は元オリンピック金メダリストの「バロン西」のストーリーを、2017年は~黒い瞳の伯爵夫 人~「クーデンホーフ美津子の生涯」を、2018年は、「~永遠の速球~沢村栄治の生涯」を制作。主な出演しているバレエダンサー達はJUMIバレエコーディネート事務所に所属のイギリスのバレエ学校に在籍中の現役の学生達である。

 

また公演は、橋立一人の力ではなく、ロンドンと日本にいる橋立の親しい友人達(それぞれの分野で活躍している)が、応援協力をしている為実現している。運営、動画撮影、写真撮影、編集、舞台スタッフ、衣装制作、会計、チラシデザイン、CD作成 送迎、Etc.・

 

また何よりも、重要無形文化財保持者、能楽師津村禮次郎の多くのご指導とどのような状況においても動じずに常に笑顔で忍耐強く出演者及びスタッフ全員を温かく引っ張って下さっているからこそである。また英語が堪能であられる事もあり海外の公演においても我々スタッフにとっても非常に心強い。津村禮次郎のアーティストとして人としての素晴らしさは我々スタッフ及び出演者だけに留まらず、現地の方々からも、一同敬愛の念を抱いてやまない。

 

そして2019年の今年は、オランダの日本大使館から、是非オランダのジャパンフェスティバルに出演してほしいと正式に招聘 して頂きロンドンに続きオランダでも初公演が決定。演目は同大使館及び関係者からのリクエストもあり第一回 目の作品、東日本大震災で全壊して復活した宮城県日本酒蔵元ストーリ「HAKURAKUSEI」。(第一回目のこの作品に ヒロイン役で出演した当時まだイギリスのバレエ学校の生徒だった石橋杏実は現在劇団四季の「パリのアメリカ人」で主役を演じております。)上演にあたっては復興への願いを込めた新しい楽曲と振 付を加える予定。

 

 さらに橋立の意思に賛同し共に被災地を応援したいという仲間達が集まり実現しようと、令和元年6月4日「菜の花被災地応 援ステージ実行委員会」を結成。主なメンバーは2010年宮城県大崎市で開催した「伯楽星 カップ~ゲイリーンストックバレエコンペティション」の「一般社団法人菜の花」の発起人たちであり、東日本大震災で甚大な被害を受けた東 北への思いは深い。

主催者の橋立は大地にしっかり手をとりあうように美しく咲くイギリスの”菜の花”の姿にい つも元気づけられてきた為、東北とイギリスの菜の花に思いを込めてその名を付け加えた。日本の心と歴史と文 化を、そして震災の悲劇と復興の姿を、能とバレエとピアノを通じて世界の多くの人達に知らせたい。 人と人の繋がりが宝。